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2010年11月11日 (木)

「中尾白雨句集」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第2巻(昭和56年・刊)より、9番めの「中尾白雨句集」を読みおえる。

 原著は、昭和12年、沙羅書店・刊。184句。

 中尾白雨(本名・正彦、1911~1936)は、水原秋桜子(跋文を寄せている)の「馬酔木」で活躍したが、25歳の若さで亡くなった。句や跋文に「血を喀く」「喀血」とあるので、肺結核で逝いたらしい。

 吉本隆明は鮎川信夫との対談で、創作家は誰でも(創作の質×創作の量)の積は同じだ、と述べている。真実かどうか、僕にはわからない。

 中尾白雨もまた、短い年月(昭和7年~11年)に、清い病床の句を多く創った。

 以下に5句を引く。

汝が吊りし蚊帳のみどりにふれにけり

夜の秋のなにかくわへて来し猫よ

コスモスの籬に病めば子等のぞく

手鏡に声渡る鳥日にいくたび

朝顔のいろ濃くうすく蚊帳たたむ

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