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2011年12月18日 (日)

有馬敲「迷路から」

 今年11月30日の記事で紹介した、有馬敲さんに頂いた3部作詩集「転生記(てんしょうき、1993年・刊)より、第2部「迷路から」を読みおえる。

 11月30日の記事で、「ほとんどがソネット形式の詩である」と書いたが、ここまで読んで、459編すべてがソネット詩であることがわかった。

 第1部「終りのはじまり」117編の読了を報告したのは、今年12月7日の記事である。第3部「白い闇」は、単行本詩集で読みおえているので、省略したい。

 第2部「迷路から」は、213編のソネットより成り、心の苦しむ仕事、体調の不良、宿酔、帰郷、地方への旅(詩の朗読会を含むようだ)などを描きながら、カタルシスを得られず、まさに「迷路」をさまよう姿である。

 はじめの方の「3」を引く。

  迷路から 3

     有馬敲


ステンレスの机 椅子

見えない鎖につながれて

くりかえしの手仕事を

いつまでも課せられている


のどが渇く

いやす水をもとめて

手洗いへ席を立ってゆくと

(おお わずかばかりの自由)


廊下の空気はここちよく

あかあかと蛍光灯がともり

軽い音楽まで流されている


祝福せよ 徒刑囚を

前かがみに白い便器をまたぎ

全身から水分を絞り出す

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