川上弘美「蛇を踏む」
文春文庫、2007年、15刷。
1996年の芥川賞受賞作「蛇を踏む」の他、「消える」「惜夜記(あたらよき)」を収める。
僕は、話題作が文庫本になり、古本となった頃に買い、棚に何年か寝かせてから、取り出して読む、というのが好きである。
実際の女性にこんな仕打ちをしたら、すぐさま去られてしまうだろう。本は、黙って待ってくれる、時に少し古びたりしながら。
彼女はSF出身であって、「あとがき」で、「自分の頭の中であれこれ想像して考えたことなら、いくらでもつるつると出てくるのですが。」と述べている。
蛇を踏むと、それが母親となって(実母は別にいる)蛇の世界へ誘う表題作など、シュールだけれど、結婚、主婦の経験が生かされていると、僕は思う。
他に気になっていた小説、「ニシノユキヒコの恋と冒険」、「古道具中野商店」も彼女の作品とわかったので、文庫本で読みたい。
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