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2012年6月18日 (月)

三國玲子「花前線」

 短歌新聞社「三國玲子全歌集」(平成17年・刊)より、2番めの歌集「花前線」を読みおえる。

 原著は、昭和40年、新星書房・刊。

 なお本・全歌集は、1ページ12行組で、やや読みにくいが、余韻は少し味わえる。また「巻末記」にあるように、没後17年の刊行で、真摯な作品は支持され続けている。

 この歌集の作歌時期は、第1歌集「空を指す枝」で「第2回新歌人会賞」受賞、十月会・入会、「一路」会員のN久雄と結婚、青年歌人会議・参加、また60年反安保闘争に加わるなど、人生の高揚期だったようだ。

 以下に5首を引く。

めぐりあはむ一人のために明日ありと紅き木の実のイヤリング買ふ

奪はるるのみの愛情もよしとする今の心の長くつづけよ

かち得しと思ふ涙よ父母の言葉を今朝は伝へむとして

長身にオーバー厚くいでてゆき何を贖ふ夫の病か

翔らざる心を悼み筋深き双手ねんごろに湯に浸しゐつ

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コメント

こぐま星座様、コメントを下さり、ありがとうございます。
斎藤茂吉は婿養子だったし、今でいう不倫も明らかになっており、そういう家庭だったのです。

この前、新聞のちいさな記事に短歌の大御所斎藤茂吉と妻輝子の不仲のエピソードが書かれていました。妻輝子は夫の留学中に浮気して妊娠してしまった。それを隠蔽するためにわざわざ渡仏したという話が書かれていました。その子供は妊娠八ヶ月で生まれてきたということです。茂吉の子供だとすると計算が合わないんですね。それを知ってからはなんだか茂吉の短歌を読んでもさしてすごいとは思えなくなってしまいました。

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