大庭みな子「オレゴン夢十夜」
講談社文芸文庫、1996年・刊。
彼女の「三匹の蟹」を読んで感銘を受けた思い出がある。ある批評家は、けなしていたけれど。
ほかにも2、3冊、文庫本で彼女の小説を読んだように思うが、記憶にはっきりしないので、題名を挙げない。
この小説の題名は、漱石の「夢十夜」を意識したのだろうけれど、仮に10章に分かってあるのみで、夢の記述には思えない。
基本は、アメリカ滞在する女性作家の日記、という体裁をとる。夫の話、父母・祖父母の話が、混じる。
日記ではなく、おしゃべり口調になる個所がある。
当時の小説らしい作品である(単行本は、1980年、新潮社・刊)。
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