鈴江幸太郎「くろもじ」
ずいぶん前、おそらく「BOOK OFF」の現れる前、金沢市の古書店で「鈴江幸太郎全歌集」(初音書房、1981年・刊)を買った。
僕が買った初めての全歌集である。
箱には、背に題名が印刷されているのみなので、写真を挙げない。
これから1冊ずつを紹介して行こうと思う。
まず初めの「くろもじ」を読みおえる。
これは作者の10冊めの歌集だが、内容は初期歌集なので、最初に置かれる。
原著は、1969年、初音書房・刊。
「アララギ」に入会し、選者の選を得た、159首を載せる。
以下に5首を引く。
照り出づる月にすがしき山々やこの峡底(かひぞこ)の道明るめり
潮曇り秀(ほ)に立つ波のつぎつぎに走りむかふは夜見が濱かも
杉むらのとよめる下の笹の音裏べは谷とおもひ寝にけり
青葉暮れてくだりをいそぐ下谷に鳴りそめし瀬は淸瀧ならむ
我の学資つくるとゆきし朝鮮におのれ炊ぎて過ぎし父はも
本文とは無関係。
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