大松達知「フリカティブ」
事情があって、東京都・在住の歌人・大松達知(おおまつ・たつはる)氏が、僕を含め「コスモス短歌会」F支部へ、彼の第1歌集「フリカティブ」、第2歌集「スクールナイト」を贈ってくださった。
彼は「コスモス」選者、「棧橋」同人、他。
なお彼の第3歌集「アスタリスク」については、2009年5月13日の記事(←リンクしてあり)で既に、紹介している。
「フリカティブ」について。
2000年、柊書房・刊。25歳~29歳の作品、361首。
帯・栞(3歌人による)。
拙い感想を書くと、短歌において、生活において、大人(たいじん)の風格を見せる彼にも、こんな若い(しかし、しっかりしている)時代があったのだなあ、という感慨が湧くのである。
以下に7首を引く。
待ち合せは例の公園 待たされていつもながめてゐたる噴水
自転車に足枷をするごとき朝 首輪をはづしやるごとき夕
考へごとして眠れずに妻ゐるを知りつつ全き個の闇に落つ
業務上偽(にせ)笑顔はた偽(にせ)激怒あればゆがめりいちにちの飢ゑ
疲れゐるわれに気づけり授業するわが声の高くなりゆくときに
掃除する妻はジグザグ怒りをりわたしは森となりてしのげり
つかれゐるからだの森にうづまきてしづみゆきたりジョン・コルトレーン
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