北川浩久「オドロキ」
2011年4月、短歌研究社・刊。
北川浩久(きたがわ・ひろひさ)さんは、1984年・生、「塔」所属。
毎日5首を創り、三年間続けて、5000首より「驚き」のテーマで200首をまとめたと、後記にある。
これまでの歌集を含め彼の活動を知らない。しかしこの創作法は無理があるようで、破調に近い作品も混じる。
生活の折りおりを詠み溜めてゆけばよい、とは思わないけれども。
若者の力業(ちからわざ)である。
以下に6首を引く。
てのひらに乗せたる水の逃げてゆかざりし分にて顔を洗いぬ
怒らないことを学んで僕たちは水のこころに近づいてゆく
太陽はたった一つさ大切なものはたくさんいらないのです
生きて行く上で必要な塩の壜を固まらぬように逆さに置きぬ
ポットに水を注ぎ入れつつ気付きたりポットにもあるココマデ・ライン
幸せの極の極とはこのことかオムレツの黄色ケチャップの赤色
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