村野四郎「亡羊記」
筑摩書房「村野四郎全詩集」(1968年・刊)より、第9詩集「亡羊記」を読みおえる。
今月13日の記事(←リンクしてある)、「抽象の城」に継ぐ。
原著は、1959年、政治公論社・刊。序詩+41編+後記(10ページ)を収める。
翌年、第11回・読売文学賞を受賞。
題名からして、懺悔のようだが、そうではない。「詩人の彫像」では、「神の名や人間の愛/そうした魂の好みもかたらない」と書いている。「神の名」や「人間の愛」は「魂の好み」ではなく、ぎりぎりの人間が縋るものだ。現代、ぎりぎりでない人間がいるだろうか。彼には他に、縋る資本があったのだろう。
「骸骨について」では、「ある時 ぼくの形而上学の中を/こっちに向いて歩いてくるのだ」と書く。後記でもそうだが、彼らの世界は観念的であり、そこからの脱出を願う。僕としては、1歩後退して、現実の生活に戻れば良い、と考える。僕の書いているソネットも、「俳句、短歌に継ぐ、第3の大衆詩型」と考えている。
「フリー素材タウン」より、大菊の1枚。
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