村野四郎「亡羊記・拾遺」
筑摩書房「村野四郎全詩集」(1968年・刊)より、「亡羊記・拾遺」16編を読みおえる。
「亡羊記」については、今月22日の記事(←リンクしてある)で紹介した。
「拾遺」では本集よりも、真情を述べているようである。
中でも僕は、「小さい冬バラに」に注目する。全3連15行より、最後の連の4行を引く。
(前略)
とじこめられた匂よ 未来よ
寒気のなかの血まみれよ
そのまま凍えて
宝玉になれ
(後略)
咲かぬまま萎れる紅薔薇の莟に比喩して、弱者への思いが洩れた。彼の詩で、初めてと僕は思う。
「大きな青い石」では、旧家意識を見せているのだが。彼は戦前・戦中からの詩人らしく、1960年7月、日本現代詩人会(改称)初代会長になっている。
「フリー素材タウン」より、大菊の1枚。
コメント