「トラークル全集 Ⅲ」
青土社「トラークル全集」(1987年・刊)より、第Ⅲ章を読みおえる。扉ページには、「Ⅲ 一九一四年から一九一五年に「ブレンナー」誌に発表された詩」と書かれてある。
前章の詩集「夢のなかのセバスチャン」については、先月14日の記事(←リンクしてある)にアップした。
第Ⅲ章は、14編の詩より成る。詩人の純粋な魂は、第1次世界大戦従軍(薬剤師見習いとして)の悲惨に耐えず、拳銃自殺未遂を起こし、送られた野戦病院でコカインの過剰摂取により自殺した(1914年)とされる。
現実に対応しない表現主義の詩人は、現実に対応しきれなかったか。
詩人の没落≒家族の没落(家業は傾き、妹も3年後・自殺)≒国家の没落(オーストリア・ハンガリー帝国は、4年後に解体)≒旧世界の没落、と捉えてよいだろう。
コメント