小池光「思川の岸辺」
先の7月7日の記事(←リンクしてある)で、購入を紹介した、小池光・歌集「思川の岸辺」を読みおえる。
角川書店、2016年・2版。542首。
第67回・読売文学賞・受賞。
夫人を亡くした挽歌集として、絶唱もあるが、出版サイドの煽りもあったようだ。
娘さんの結婚、お孫さんとの交流、常の猫との暮らしなどが詠まれる。
歌集の真中あたりか、「六十を過ぎしころより明らかにわが幸運は続かずなりぬ」と嘆いたが、本歌集によって読売文学賞を受賞している。
以下に7首を引く。
収載歌数も多く、たくさんの付箋を貼ったのだが、例に付いて7首に絞った。
ひよどりの水浴びをするありさまを突然みては妻とわれわらふ
ちちははとはらからとのみ集ひたる簡素の宴に時は流れて
母親となりたる志野をみるときに志野かはゆしとせつにおもへり
白鷺の眠る木ありてことしまた白鷺ねむるきみはなくとも
ああ和子悪かつたなあとこゑに出て部屋の真ん中にわが立ち尽くす
「ブ!」といひてブロッコリーに食ひつける二歳の孫をわが持てりけり
一日に九時間ばかりも眠るわれくるしみやまぬ夢を見ながら
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