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2008年3月23日 (日)

奥村晃作「戦争の歌」

003  奥村晃作氏の評論集「戦争の歌 渡辺直己と宮柊二」を読みおえる。北冬舎「北冬草書3」、198ページ。

 渡辺直己の、戦闘への徹底したサボタージュは単なるズルケではなく、戦争への一つの抵抗である。宮柊二が度重なる激戦のなかで、弾に当たりさえしなかったのは、何の加護によるのだろう。

 戦闘をサボタージュした渡辺直己が爆死し、「一兵の生きの有様をまつぶさに遂げむ」とした宮柊二が生還したのも、運命の皮肉である。

 この本には、戦地での2歌人が述べられているだけではない。先達の奥村氏から僕たちへ「君たちもせいいっぱい生きて、せいいっぱい歌を詠みなさいよ」というメッセージである。

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