京都府に在住の木畑紀子さん(歌誌「コスモス」選者)の第4歌集「歌あかり」(柊書房・刊)を読みおえる。
さまざまな苦しみを経て、到った心境が清明である。
東海道を歩いて、結び字という方法をもちいた80首連作が巻末にある。このような試みは有意義だろう。僕には、真似をする余裕も力量もないが。
つよく心に留まった3首を挙げる。
流離(さすらひ)のおもひつのればときどきを空にむかひて作る手窓(たなまど)
飛鳥川ほそく三輪山ひくければゆきかふ侏儒の古代びとみゆ
寄せ植ゑしわすれなぐさの苗ふたつ男雛、女雛と咲きいでにけり
コメント