新潮文庫「ヘミングウェイ全短編 1 われらの時代 男だけの世界」(高見浩・訳、平成7年・刊)を読みおえる。おもに昼休み時間、駐車場のマイカーの中で読み継いだもの。
裏表紙の短文で、名編とされる「雨のなかの猫」は機知を効かせただけのものだし、「二つの心臓の大きな川」はスケッチ風である。
「殺し屋」は、僕が殺し屋の実態を知らないせいもあるだろうが、惹かれるストーリーだった。ただ最後で、命を狙われる理由を、同情者二人の会話で、「だれかを裏切ったのさ」とオチをつけているのは良くない。
新訳と相俟って、文体は簡潔、描写は鮮やかである。
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