有吉玉青「黄色いリボン」
有吉玉青の小説「黄色いリボン」(幻冬舎文庫、平成9年・刊)を読みおえる。
著者は作家・有吉佐和子の娘さんである。
ストーリーは、若い女性がアメリカのボストンに留学中の物語である。時期は、湾岸戦争とその前後。
アメリカが湾岸で戦争中なのに、学生や一般市民は、勉強やレクリエーションに熱心で、戦争の影の無さへの違和感が大きなモチーフである。
また主人公は日本人の青年留学生と同居を始め、その青年の帰国決定によって、同居も終わろうとしている。愛憎のどろどろは殆ど無い。
著者の「文庫版あとがき」でも明らかなように、作品はフィクションだけれども、筋の展開や描写はあまりにも鮮やかである。若い感性と、文人の血筋だろうか。
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