「佐佐木幸綱の世界 1 歌集篇」
1998年、河出書房新社・刊。
帯、カバー、314ページ。
「佐佐木幸綱の世界」Ⅰ期Ⅱ期合わせて16冊のうち、歌集篇のすべて4冊を、僕は有している。
この本には、「緑晶」「群黎」「男魂歌」「直立せよ一行の詩」「夏の鏡」「火を運ぶ」の、初期6冊の歌集が収められた。
この本の初めの歌は、巧まぬユーモアも心情的リアリティもある。あとのほうになってくると、酒びたりの歌のようで、酔っ払いの咆哮のように思えて、僕は好きになれない。
付箋をはった歌より、5首を以下に引く。
<賭け>は清し未来つきぬく鉄あればすさまじく折れゆく幾本ぞ
サキサキとセロリ噛みいてあどけなき汝を愛する理由はいらず
運は天、地は志、歌は海、わが神として女笑えり
黄葉(もみじば)の過ぎにし父と思えれど秋山に来て心を洗う
小綬鶏の声が鋭く駈けのぼるわれには見えぬ天の坂道
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