五味川純平の小説集「戦記小説集」を読みおえる。
1993年、文春文庫。
この本には、連作短篇集(「不帰の暦」から「帰去来」に至る6篇)とも呼べる「戦記小説集」と、「戦史断章」として「玉砕」「惨劇」の2篇が、収められている。
彼の主著「人間の條件」「戦争と人間」を読んでいない(本を所有してはいる)ので、僕は何とも言いがたい。
開戦時に日本の敗北を予言できる、冷静な知識人だったから、生き残り兵を率いての長い敗残行を成し遂げ得たのだろう。
小説では主人公「私」の視点で語られてゆくが、フィクションも自己正当化もあるだろう。しかし戦士の描いた戦争小説として、有力である。
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