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2009年9月26日 (土)

水上比呂美「ざくろの水脈」

003  東京都・在住の歌人・水上比呂美さん(「コスモス」「棧橋」所属)が、第1歌集「ざくろの水脈」を送って下さった。

 2009年10月付け・刊、柊書房・発行。

 お会いしたときの感じでは、体のあまり丈夫でない、朗らかそうな人だったが、どこに「怖れへの感覚」は潜んでいたのだろう。

 ミステリー小説の読みすぎ、サスペンスドラマの観すぎではなく、彼女はただ素直な心の持ち主なのだろう。

 素直な心にとって、悪心の世間は、怖ろしい物事に満ちているだろう。

 以下にこの歌集より、7首を引く。

人生は後半がよし八十の義父がデートに出かける日暮れ

曇つた日たつたふたりのをとこ乗せ回送電車はせかせかとゆく

終電に飽かずいちやつくカップルをもし百舌ならば速贄(はやにへ)にせむ

死者のため煙草を買はむ斎場の自販機に千円札を入れたり

四人分二十四個の餃子焼き一人帰らず八個づつ盛る

裏庭の手押しポンプの井戸端でつつかけのまま足を洗ひき

新宿の改札口の全てから出られず切符一枚なくして

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