津金規雄「時のクルーズ」
神奈川県・在住の歌人・津金規雄さん(「コスモス」選者、「棧橋」同人)が、「ファーブルの帽子」に続く第2歌集「時のクルーズ」を送って下さった。
2009年10月・刊、柊書房・発行。
歌集の題名が、横浜市にお住まいの津金さんらしい。山麓住まいの僕には、よう出てこない言葉である。
愛妻と、仕事と、余暇の、充実した生活のなか、薬害による大病で、長期入院したあと、作歌も変わり、自然詠などに秀歌があるようだ。
演劇(歌舞伎など)や音楽(西洋クラッシックなど)の造詣の深さも、魅力である。
歌集より、以下に7首を引く。
二世紀のち地下水となり湧き出でよ春やはらかく降りしきる雨
離れ住む父母ももう見たらうか紺きらめかせ飛ぶ初つばめ
家にあればすぐに寄り来るコアラ妻病院なればこまごま看取る
夜の更けの病院廊下の受話器より妻の嗚咽はあふれてこぼる
さういへば矢ガモ救助に行政が出動したる<善政>ありき
橋見ればその橋の名を知りたしと切に願へるこころ湧きくる
プラハよりウィーンに来て息絶えし<小さき鴉>フランツ・カフカ
行政の善政というと、あれくらいしか
ないという皮肉です。
投稿: 新サスケ | 2009年10月 3日 (土) 19:21
矢鴨さんあれは善政といえるのか(川柳)
投稿: 暴走熊 | 2009年10月 3日 (土) 16:03