福士りか「「゛り゛の系譜」
青森県・在住の歌人・福士りかさん(「コスモス」「棧橋」所属)が、歌集「゛り゛の系譜」を送ってくださった。
2009年11月、津軽書房・刊。
この本は、彼女の「朱夏」「フェザースノー」に続く、第3歌集である。
かつて僕は前の2歌集も頂いて、読ませてもらった。
「゛り゛の系譜」は、心情的にもレトリック的にも成熟した、優れた歌集である。
レトリック的に成熟したというのは、派手な修辞を見せびらかすのではなく、抑えた作品、軽みを帯びた作品などを、指すのである。
以下に8首を引く。
髪梳けば櫛は半ばで絡みたりほぐしつづくる生かと思ふ
母は「りゑ」その母は「りち」りの系譜われにつながりわれにて絶えむ
いま何か降つてゐるかと聞く祖母よ さうだねたぶん時が降つてる
一日の化粧落とせば母に似てしばし向き合ふ四十の母と
水をこぼし御飯をこぼしぽろぽろと記憶をこぼし祖母は泣きたり
いちご飴ふたつ下さい姪ふたり連れて明るき宵宮あゆむ
わらわらと泣きたくなりぬ生徒らが真面目にノートをとる五時間目
練習で泣きしは初とあきれられ羨ましがられ卒業を待つ
福士りか様、コメントをくださり、ありがとうございます。
拙速な感想ですみません。
投稿: 新サスケ | 2009年12月 7日 (月) 19:27
さっそくのコメント、ありがとうございます。
叙述の歌が多いのは前からの課題でしたが、ひとつやり終えたという感じです。次の表現の世界に進めるといいなあと思っています。
投稿: 福士りか | 2009年12月 6日 (日) 23:34