高見順・詩集「死の淵より」
講談社文庫、昭和46年1刷。
この本は、亡くなる直前の「詩集 死の淵より」に、「『死の淵より』拾遺」と「『わが埋葬』以後」の章を、収める。
僕はこの文庫本を、高校生時代以来、何度も読み返して(その都度、本は違うが)、感銘を新たにした。
文学好きな方には、1度は是非読んでもらいたい詩集である。
詩「黒板」の後半を引く。
「黒板」
(前略)
私の好きだった若い英語教師が
黒板消しでチョークの字を
きれいに消して
リーダーを小脇に
午後の陽を肩さきに受けて
じゃ諸君と教室を出て行った
ちょうどあのように
私も人生を去りたい
すべてをさっと消して
じゃ諸君と言って
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