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2010年4月 1日 (木)

田宮朋子「雪月の家」

002  新潟県に在住の歌人、田宮朋子さん(「コスモス」選者、「桟橋」同人)が、第3歌集「雪月(ゆきづき)の家」を送ってくださった。

 角川書店、平成22年3月・刊。

 「21世紀歌人シリーズ」中の1冊。

 「雪月」は旧暦12月の異称であり、家で過ごす時間が長いことから、歌集題にしたと、「あとがき」にある。

 作品は、純粋にして篤実な性格を思わせる、佳品ばかりである。

 比喩の歌も多いが、穏やかな、無理のないものである。

 以下に6首を引いてみる。

うたたねの猫が枕にしてゐるはわが読みさしの『この世この生』

キッチンがグラグラ揺れて揺れ続けズシンドシンと大地震くる

水面に舌先ちらと触れてのち猫はひたひた水飲みはじむ

とつぜんに窓をべきばき震はせてすがたなき自衛隊機すぎたり

谷あひの旧道たれもゐなければエンジン切りて山の音聴く

蓮の糸ならぬ言葉をあやつりてちやうちやうはたりと紡ぐ曼荼羅

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