小山富紀子「紅さし指」
京都府に在住の歌人・小山富紀子さん(「コスモス」選者、「棧橋」同人)が、歌集「紅さし指」を送って下さった。
「祇園春宵」に次ぐ、彼女の第2歌集。
2010年5月、柊書房・刊。
京言葉を用いた作品には、京の人情を、京都を描いた作品には、古都の風情を感じる。
京都に詳しくない僕には、異国情緒めくとまで感じられる。
京都に生まれ育った彼女には、日常のことなのだろうけれども。
「コスモス」2010-6月号に、久保田智栄子さんの懇切丁寧な評が載っている。
以下に、7首を引く。
ホケキョ(あら)、ホテチョ(うふふふ)ホーホケキョうぐひす鳴けり(お気張りやっしゃ)
せりなづなごぎやうはこべら君すでに仏の座なりさびしみて摘む
雪降れるまへのしづけさ雪降りしのちのしづけさ聞きわけてひとり
なんもかもどうでもええわとなるやうな暑き日続く京都盆地に
花びらが舞ひ込むやうに一力ののれんをくぐる芸妓、舞妓ら
神と祖迎ふるための門松を値切りて買はむこれも吉例
銚子持つ手つきなかなか乙にして三人官女はいけるくちらし
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