「増補 森川義信詩集」
3日前の7月15日の記事で、購入を報告した、鮎川信夫・編「増補 森川義信詩集」を読みおえる。
国文社、1991年・刊、紙カバー、帯。
記事が重複するが書くと、森川義信は、戦前「荒地」グループの1員で、昭和17年、ビルマで戦病死、25歳。
この本の初めには、彼の写真(もちろんモノクロ)があり、いがぐり頭の田舎の青年である。
この詩集を通読すると、初期の新体詩から、モダニズム詩へ移り、召集前の新しい詩(実存的、表現は超現実主義的)となる。
内容は時代を映して暗く、悲痛である。
以下に「衢にて」の後の部分を引く。
衢にて
(前略)
もはや
美しいままに欺かれ
うつくしいままに奪はれてゐた
しかし最後の
膝に耐え
こみあげる背をふせ
はげしく若さをうちくだいて
未完の忘却のなかから
なほ
何かを信じようとしてゐた
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