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2010年8月14日 (土)

中島悦子「マッチ売りの偽書」

002  神奈川県に在住の詩人、中島悦子さんの第3詩集、「マッチ売りの偽書」を読みおえる。

 2008年、思潮社・刊。

 装丁・稲川方人、帯文・井坂洋子。

 この詩集は、先だって、こぐま星座さんに借りた詩集3冊のうち、最後の1冊である。

 この詩集は、2009年、第59回「H氏賞」(日本現代詩人会・主催)を受賞している。「H氏賞」は、「詩の芥川賞」とも言われ、詩壇への登竜門である。

 彼女は、福井県出身であり、福井県内を中心とする詩誌「木立ち」同人であり、また同詩集にて「北陸現代詩人賞」大賞を受賞している。

 内容は、人生のマイナス面を戯画化(寓喩、フィクション化によって)した作品が多いようだ。

 それも1方向だろうけれど、極小でいいから人生のプラス面を唱っていたい。

 詩「バックグラウンド」の、第2連を以下に引く。

    バックグラウンド

     (前略)

猿にスーパーで買ったばかりのりんごとインスタントラーメンを奪われる。いくら共存しているとはいえ、このやろーなどと捨てゼリフを言うのは、おもしろい。カラスにも、顔を覚えられつつかれる。おぼえてろーなどと泣きながら家に帰る。もう、人間でいる意味はないようにも思うし、かえって人間でいてもいいようにも思う。知能が低下すると人間もしばしばおおげさに泣きながら暮らすのではないだろうか。

     (後略)

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