川上明日夫「雨師」
2007年、思潮社・刊、帯。
この本も、先日にこぐま星座さんより借りた、3冊の詩集のうちの1冊である。
川上さんは、僕が高校生時代よりの、詩兄である。
高校文芸部員時代に、1年先輩の荒川洋治さんのプロデュースで、僕のガリ版詩集「炎の車輪」を出した時、その批評会に、1昨日に紹介した広部英一さんも、川上明日夫さんも、出席してくださってよりのご縁である。
詩人を、言葉派と生活派に分けると、彼は福井県内では数少ない、言葉派の1人である。
詩集の中で最も短い、「波紋」を以下に引く。
波紋
萩の花の すっかり おちた小枝に ぽつんとひとり 空の実が 揺れている
空を映して ぽつんとひとり ぼくは ぼくの涙に すこし浮かんで 生きている
風が吹いて 光がこぼれて
むかし 魂の近所で 暮らしたことのある人が そっと 水辺に おりてくる
そのたびに とおい雨の湖では この世の秋の ちいさな 波紋(さざなみ)が たっている
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