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2010年8月11日 (水)

川上明日夫「雨師」

002_2  川上明日夫さんの最新詩集、「雨師(うし)」を読みおえる。

 2007年、思潮社・刊、帯。

 この本も、先日にこぐま星座さんより借りた、3冊の詩集のうちの1冊である。

 川上さんは、僕が高校生時代よりの、詩兄である。

 高校文芸部員時代に、1年先輩の荒川洋治さんのプロデュースで、僕のガリ版詩集「炎の車輪」を出した時、その批評会に、1昨日に紹介した広部英一さんも、川上明日夫さんも、出席してくださってよりのご縁である。

 詩人を、言葉派と生活派に分けると、彼は福井県内では数少ない、言葉派の1人である。

 詩集の中で最も短い、「波紋」を以下に引く。

    波紋

萩の花の すっかり おちた小枝に ぽつんとひとり 空の実が 揺れている

空を映して ぽつんとひとり ぼくは ぼくの涙に すこし浮かんで 生きている

風が吹いて 光がこぼれて

むかし 魂の近所で 暮らしたことのある人が そっと 水辺に おりてくる

そのたびに とおい雨の湖では この世の秋の ちいさな 波紋(さざなみ)が  たっている

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