松本由利「ガウス平面」
静岡県に在住の歌人、松本由利さん(「コスモス」会員、「棧橋」同人)が、第一歌集「ガウス平面」を送ってくださった。
2010年8月、柊書房・刊。
大松達知・選、高野公彦・帯文。
この歌集には、大きな事件は少ない。ご自身の出産と、その娘さんの進学くらいだろうか。
日常の出来事を取り上げて詠いながら、感じ取り方は特異である。しかも彼女は、その特異さに気づいていないらしい所が、ユニークである。
その源は、歌集の歌にも出てくる「自らに破り捨てたる夢いくつ」の、名残りだろう。
以下に6首を引く。
日にぬくむ額の一点つんと冷えまたつんと冷え春の時雨は
信仰はもたねど心寄せてをり山住神社の朽葉のにほひ
米を研ぐ指に血潮のいろ差して四十歳の生は満ちたり
海の風はまひるがほの上を来てわが寂しさを吹きてゆきたり
ゆふぐれの壁の人影きびきびと働いてをりそれはわが影
はらわたに響くこほろぎ、のどもとに響くすずむし、かたみに鳴きぬ
松本様、コメントを下さり、ありがとうございます。
拙速の感想で、失礼がありましたら、お許しくださいますように。
投稿: 新サスケ | 2010年8月13日 (金) 20:11
取り上げて下さってありがとうございます。
特異なのですか!知りませんでした。このまま進んで良いということでしょうか。がんばります。
投稿: 松本 | 2010年8月13日 (金) 15:12