石橋辰之助「山行」
角川書店「増補 現代俳句大系」第2巻(昭和56年・刊)より、4番めの句集、石橋辰之助「山行」を読みおえる。
原著は、昭和10年、沙羅書店・刊。
この句集には、序文、跋文はなく、著者の「あとがき」さえ無い。何の意だろうか。
句集のほとんどを、ロッククライミングを含む、登山の句が占めている。著者は、山岳俳句の開拓者とされる。
彼はのちに、西東三鬼らと新興俳句へ走ったが、弾圧を受け沈黙。
戦後の彼は、日本民主主義文化連盟の役員をするなど尽力したが、昭和23年、結核により死去、享年40.
以下に5句を引く。
穂高岳真つ向ふにして岩魚釣
青く赤く燃ゆる星あるキヤムプかな
短夜の扉は雲海にひらかれぬ
岩灼くるにほひに耐へて登山綱(ザイル)負ふ
吹雪来て眼路なる岩のかきけさる
コメント