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2010年10月19日 (火)

谷川俊太郎「62のソネット +36」

002  このブログの10月15日(4日前)の記事で、購入を報告した詩集、谷川俊太郎「62のソネット +36」を読みおえる。

 集英社文庫、2009年7月第1刷。

 この本には、1953年に詩集「62のソネット」として出版された62編と、未発表の36編、合計98編のソネットと、その98編の英訳が収められる。ただし僕は、英訳は読まなかった(読めなかった)。

 「62のソネット」は、僕が若い時に読んでいる。

 戦後詩史で、主導的「荒地」グループと、左翼的な「列島」グループが相克している時、谷川俊太郎・茨木のり子・吉野弘らの、のびやかな若手グループ「櫂」の登場は、衝撃的だったろう。

 敗戦の痛手が少なく、中産階級出身の青年たちだった。

 この詩集について、未発表だった詩編にも、共感できる作品がある。

 少し違和を感じたのは、旧仮名遣いを新仮名遣いに改めたからだろう。

 「62のソネット」55番より、後半の2連を引く。

  62のソネット 55

       (前略)

私は捨てられた皿だ

満たされぬことを知りながら

なお待つ形のままで‥‥


そしてもし世界の中で

私も役目をもっているとしたら

そのように佇むことが私に課せられている

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