「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」
単行本の「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」を読みおえる。副題は、「村上春樹インタビュー集 1997-2009」である。
2010年9月、文藝春秋・刊。
この本には、内外メディアからのインタビュー、全18編が載っている。本には、彼の文学(翻訳を含む)の秘密がたくさん明かされていて、彼の文学のファン(愛読者)なら、必読の1冊である。
たとえば、人が二階建ての家に住んでおり(1階は食事・団欒の場、2階は個室で読書などをする)、地下1階のことをたいていの作家は表現するが、自分はさらに地下2階のことを表現できる、と述べている。自分がその世界に入っていき、現実に戻ることが出来るのは、能力と訓練に由る、とも述べているようだ。
また彼は、小説のストーリーの展開やエンディングを、前もって考えていないそうだ。机の前に座ると、フィクションが5感に感じられるように、展開するという。
また、翻訳、短篇・中編・長編の各小説が、うまくサイクルして、自分の小説が発展して来た、とも述べている。
他にも色いろ、明かされているので、539ページの厚さに挑む人が、多くあってほしい。
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