「ヘッセ詩集」
新潮社、昭和42年・刊。
箱、帯なし、月報、本体にビニールカバー。
この全集の第12巻を、この12月8日に読みおえて(ブログに記事あり)、第13巻の「リルケ詩集」は、彼の全集を読み進めている所なので飛ばし、第14巻に到る。
ヘッセの詩は、文庫本で読んだ記憶があるが、このように纏めてたくさん(解説の前に282ページ)読んだのは、初めてである。
初中期の詩は、放浪やその回想、望郷を描いた詩が多いようだ。後期には、人生観を描いた詩が多いようだ。
ヘッセの詩と小説(僕も何編か読んだ)を比べると、小説のほうが質・量ともに上だと僕は思う。ただし詩人の心をもって小説を書くことは、可能だろう。
以下に初期の短い詩を引く。
野を越えて
ヘッセ
空を越えて、雲は行き、
野を越えて、風はよぎる。
野を越えてさすらうのは、
私の母の迷える子。
ちまたを越えて木の葉は飛び、木立ちの上に鳥は鳴く―
山のあなたのどこかに
私の遠いふるさとはあるに違いない。
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