詩人・金子光晴の自伝の1冊、「どくろ杯」を読みおえる。
中公文庫、1981年3版。
この自伝は、妻となる森三千代との出会いから始まる。
二人で国内を放浪(詩人の知人を頼って)のあげく、日本に居づらくなり、子供ひとりを妻の実家に預け、夫婦で上海へ脱出する。
滞在期間の長短はあるが、そのあと香港、ジャワ、シンガポールと放浪する。
彼らの旅は、欧米にまで至るようで、続編にあたるらしい「ねむれ巴里」、「西ひがし」、「マレー蘭印紀行」(いずれも中公文庫)を、僕は持っているけれど、ひとまず措きたい。
第二次大戦下の日本で、ただ一人、反戦詩を書いた詩人の感性は、戦前の世界放浪の生活から、形成されたようだ。
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