詩人・金子光晴(1895~1975)の長編紀行文「マレー蘭印紀行」を読みおえる。
中公文庫、昭和53年・刊。
これは彼が、昭和3年~昭和7年の、異国放浪を綴った紀行文である。
マレーとはマレー半島南部を指し、蘭印とはオランダ領インドネシアを指す。
その地を一人で、あるいは妻と二人で、金銭の当てのない旅を続けた。
僕が惹かれたのは、苦力(クーリー)たちの仕事ぶりである。人間扱いされないような待遇で、苦しい仕事をして、毎日を耐えている。
またゴム園、鉄鉱山に派遣された日本人、娼婦たちの生活にも、興深いものがある。
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