ドナルド・キーンのエッセイ集、「碧い眼の太郎冠者」を読みおえる。
中公文庫、昭和63年・7版。
この文庫本の初版は昭和51年であり、元の単行本は昭和32年発行であり、谷崎潤一郎の序文が付される。
昭和32年に、日本文学というより日本文化を、海外に広く紹介しようと志す外人は、おそらく彼ひとりだったろう。
彼の専門は松尾芭蕉の研究との事である。その研究の時間を削ってでも、彼は日本文化の紹介に孤軍奮闘した。
また日本人の外人に対する、外人の日本に対する、先入観を外すよう、訴えている。
11編のうち最も興深かったのは、「奥の細道」の跡を辿る「紅毛奥の細道」であった。日本的感性を十分に持つ方だ。
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