鈴鹿野風呂「浜木綿」
角川書店「増補 現代俳句大系」第3巻(昭和56年・刊)より、10番めの句集、鈴鹿野風呂「浜木綿」を読みおえる。
原著は、昭和14年、京鹿子発行所・刊。
僕のパソコンを修理に出している間に、同巻の長谷川かな女「雨月」、中村草田男「火の島」を読んだが、両書についてはスルーする。
彼は教職を歴任し、その環境から、旅を好んで旅吟を多くものした。
生涯36万句をものした、多作家であった。
「浜木綿」には、旅吟495句を、制作年月順に収録。
戦争に傾いてゆく時代の憂さを、旅と旅吟に晴らしていたのか、のちには時代の趨勢に曳かれたのか。
以下に5句を引く。
月出づる前の昏さの流燈会
車前草の葉の皆ぬれて滝の道
麻刈るやのこす種麻小十本
海鼠船ふくるゝ潮にさからはず
春の海くらげの傘のまんまろに
コメント