小島なお「サリンジャーは死んでしまった」
8月5日(3日前)に、このブログで購入を報告した3冊のうち、以下の本を読みおえる。
小島なお・歌集「サリンジャーは死んでしまった」
平成23年7月、角川書店・発行。
彼女は、歌人・小島ゆかりの長女。高校生時代の2004年に、角川短歌賞を受賞。「コスモス」会員。
2007年・刊の歌集「乱反射」で、現代短歌新人賞、梅花文学賞を受賞した。
おおまつ。さんのブログ「something like that」(このブログのリンク集にあり)の8月7日の記事に、懇切に紹介されている。
若さのあふれる作品も良いのだが、家族を詠んだ作品に、僕はしみじみ打たれる。
以下に、8首を紹介する。
春風のなかの鳩らが呟けりサリンジャーは死んでしまった
100%のオレンジジュース飲み干して父の背中は夕焼けの壁
ひえびえと秋の手摺りの続きいる地上で時に泣いたりもする
父からのメールの口調が不器用で変だと笑う母の夕暮れ
母とふたり桜の下を歩みゆく父の癖など話しつつゆく
四人にて同じボートに乗り込めばそれだけでどこかおかし家族は
たくましく男子(だんし)のような妹に将来助けてもらう計画
眠っても眠ってもまだ足りなくてからだは大き巻貝である
コメント