岡井隆「αの星」
この10月14日の記事で、購入を報告した歌書、「岡井隆全歌集 Ⅲ」より、初めの「α(アルファ)の星」を読みおえる。
この本には、6歌集が収められており大部なので、1歌集ごとの感想を報告したい。
彼の独特さは、短歌を詠む力感と、新しい動きを採り入れる自由さだろうか。
「月報 Ⅲ」の、荻原弘幸・石井辰彦との鼎談でも語られた、彼の保守転換と、家族詠の作など、6首を以下に引く。
一票を保守派にいれて帰りたりわが過去へあはきサタイアとして
亡ぶなら核のもとにてわが死なむ人智はそこに暗くこごれば
あたらしきことばの河にあそびつつときにまどへり父親なれば
三人子(みたりご)と妻とが作る四重奏隠喩はつねに生(な)まぐさくして
午後九時に鳴れるチャイムは誰(た)がために誰(たれ)が巻きたる留守居し居れば
若きらを遠きさびしきライバルとして生きむかなまさか嫌ふな
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