石塚友二「方寸虚実」
角川書店「増補 現代俳句大系」第4巻(昭和56年・刊)より、6番めの句集、石塚友二「方寸虚実」を読みおえる。
原著は、昭和16年、甲鳥書林・刊。
昨年12月14日の記事 で、中島斌雄・句集「樹氷群」を紹介して以来である。
裕福・インテリの中島斌雄と対照的に、農家の次男として上京し、苦労人の石塚友二である。
横光利一の序文、392句、後書を収める。
戦時下、ファナティックにならず、生活の方寸の間に句材を求めている。それでも
菊花節大東亜圏晴一天
の句があるのは惜しい。
以下に5句を引く。
玉萵苣の早苗に踞むバス待つ間
夜の酷暑氷塊惜しむ舌端に
休日の塵用暑き雨衝きて
邂逅の不可思議栗を剝き対ふ
人気なく火気なき家や俄破と出づ
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