大岩弘「夜陰に向かう」
昨年12月20日に、同人詩誌仲間のAUさんより借りた詩集6冊(当日に記事あり)のうち、5冊めの詩集、大岩弘「夜陰に向かう」を読みおえる。
2011年6月・刊、私家版、彼の第4詩集。
先行する彼の詩集を読んでいないなど、細かい事は知れないけれど、防空壕に空襲を避けた幼年時代を過ごし(「小さな記憶」)、戦後は組合活動に加わり、母親も左翼活動に加わった(「一九六〇年代・青春」)。
会社からの馘首に遭い(「解雇」)、妻との相克があり(「町外れの夕餉」)、心に無残さを感じながら再就職の職場に出勤する(「いつもの朝」)。
戦後左翼の隆盛と後退を、身をもって、生活をもって体験した者の、詩によってのみ灯りを求めた(「我が詩を追って」)歩みが、誠実さをもって描かれる。
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