藤原定「距離」
沖積舎「藤原定全詩集」(1992年・刊、限定500部)より、2番めの詩集、「距離」を読みおえる。
原著は、1954年、書肆ユリイカ・刊。
恋愛や性を扱った作品をまじえながら、彼の生が描かれてゆく。
それらが創られたと考えられる時期に、妻との別居・離婚があり、詩集刊行の3ヶ月後に再婚している。
彼は第1詩集「天地の間」の自跋で、「私は一介の市井人にすぎず、甚だしく詩才に恵まれた詩人ではないであらうと思つてゐる。」と述べている。
「距離」の詩も、そのような自覚のもとに書かれているようだ。
ただし、それよりの飛躍を窺わせる作品があり、次の「僕はいる 僕はいない」を含め、以降の詩集を読む事を、僕は楽しみにしている。
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