荒川洋治「人気の本、実力の本」
現代詩作家・荒川洋治氏の文学評論集、「人気の本、実力の本」を読みおえる。
昭和63年(1988年)、五柳書院・刊。
「ピンクの赤字(『ボクのマンスリー・ショック』刊行メモ)」の中で、彼は「僕は詩は一流だが(?)文章書きとしては三流、四流で、…」と書いている。
彼の謙遜だろうが、意識するのか、中にはお笑いめかして書かれた部分もある。
それが2006年には、文学評論で以って、「小林秀雄賞」を受賞している。資質もあるのだろうが、研鑚の力は怖ろしい。
また「雨中の選抜 地図の言葉」では、詩集「娼婦論」「水駅」で、地図を唯一のデータとして、詩を創る経緯が細かく述べられて、感服する。
また詩論の他でも、言葉についての感性は鋭く、詩作での自信も肯える。
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