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2012年4月12日 (木)

岩田亨「夜の林檎」

Cimg5834 岩田亨・第1歌集「夜の林檎」を読みおえる。

 角川書店、平成17年・刊。尾崎左永子の帯文。

 彼は「運河の会」「星座の会」所属。

 神奈川県在住、学習塾・自営。

 歌集は1ページ2首で、余裕がある。

 エッセイ2編を付す。

 初めはゆるめな印象の作品もあるが、のちに歌が締まってくると、なんだか寂しい気持ちもする。

 以下に7首を引く。

応援のわれの姿を一目(ひとめ)見て走る時の間 児(こ)は追い越さる

デジタルの時計に変えたこの朝は出勤までの手順間違う

落武者の影曳(ひ)くごとき男らがひしめき合えり 終バスの中

網を引く声の消えたる夕暮れに波立ち上がる九十九里浜

コロイドの溶液満てるガラス器に太陽光の反射が眩(まぶ)

跳躍のかたちを空に残しては敗者は順にフィールドを去る

つややかに光るトマトが食膳にあるを惜しみて最後に食す

 

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