篠原梵「皿」
角川書店「増補 現代俳句大系」第4巻(昭和56年・刊)より、12番めの句集、篠原梵(しのはら・ぼん)「皿」を読みおえる。
今年2月29日の記事、尾崎迷堂「孤輪」以来である。
原著は、昭和16年、甲鳥書林・刊(昭和俳句叢書の1冊として)。
196ページ、340句、題は四国時代に(のちに彼は東京に出た)歩いた山のうち、皿ケ嶺より採ったと「後記」にある。
彼は臼田亜浪・門、俳誌「石楠」で活躍したとある。
当時の俳壇の風を知らないが、この句集には5・7・7音等の、破調が幾十もある。例えば、
わが垣も八ツ手の花のたわわ毬なす
以下に5句を引く。
寒き燈にみどり児の眼は埴輪の眼
腕の中にのけぞり吾子の風鈴もとむ
円く濃き新樹の影にバスを待つ
バス果てぬ春蟬ここだ鳴く中に
葉桜の中の無数の空さわぐ
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