江藤淳エッセイ集
江藤淳(1932~1999)のエッセイ集「文学と私・戦後と私」を読みおえる。
新潮文庫、昭和49年2刷。
本冊にはカラーの紙カバーがあるが、汚れているので、写真では除いた。
301ページに53編のエッセイ、他を収めたので、1編は短い作品が多く、読みやすい。
読んでいる感覚は、穏やかなインテリのオジサンかな、と思わせる。
彼の本を僕は、このエッセイ集しか読んでいないが、本業では保守派論客だったのだろう。この本の「戦後と私」の中に「私の家は『庶民』ではなかった…」と述べて、選ばれた民のプライドだけで彼は戦後を生き抜いたのか、と思わせる。
しかしエッセイでは、この市民的しみじみ・ほのぼの路線が佳いので、人を世を恨む言葉ばかりでは、読者は楽しめないだろう。
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