滝井孝作「浮寝鳥」
角川書店「増補 現代俳句大系」第5巻(昭和56年・刊)より、3番めの句集、滝井孝作「浮寝鳥」を読みおえる。
原著は、昭和18年、石原求龍堂・刊。
200句(創作の逆年順)、自筆「奥書」を載せる。この「大系」本では、随筆を省く。
彼は文学的出発において、河東碧梧桐ら(「海紅」等)の、新傾向俳句の俳人であったようだが、小説を経て、俳壇にも復帰した「浮寝鳥」では、有季定型の句に納まっている。
この「大系」第5巻ではこのあと、久米正雄「返り花」、室生犀星「犀星発句集」、内田百閒「百鬼園俳句」と、文人俳句の句集が続くのだが、当時の時勢に疎い僕には、その理由がわからない。
以下に5句を引く。
水鳥や艦船うごき波のくる
たつぷりとたゆたふ蚊帳の中たるみ
夕あたゝか星僅か出る窓の空
霜晴れの欅の梢空の濃き
双子山脊肩のさむい夕日哉
ダウンロード・フォト集より。
コメント