河西治枝「リテラ・ポプリ」
2003年、砂子屋書房・刊。
初め「宇宙風」に属したが、カルチュアセンターで岡井隆の添削と講義を受けるようになり、「未来」へ移った。
また投稿を大きな軸として、詠んでいくと「あとがき」にある。岡井隆の跋文「『リテラ・ポプリ」』の著者に」を載せる。
題名は、「ポプラからの手紙」の意味とある。
息子さんの住む北海道を始め国内の旅行、多くの海外への旅行で、詠まれた短歌が多い。
文法と叙述が、押さえられていない作品もある。
ともあれ、歌集を上梓するまでの、短歌への情熱は、讃えられてよい。
以下に7首を引く。
天よりの白き伝言携えて定家かずらは返り咲きたり
鯵鰯銀鱗泳ぎ床下のガラスに映る客人(まろうど)に飽かず
タンバリン打ち鳴らしつつ行進すポプラ並木に白昼夢みる
雁来紅(かまつか)の緋の色みれば行きどまりの思いわずかにほどけゆくなり
あの世でもおみななれかしたらちねの母にふうわり小袖掛けたり
漁火の波にゆらぐを遠々に春呼ぶ螢と漁夫は言いたり
ファゴットはアンダンテなり<トウオネラの白鳥>ひとりシベリウスを聴く
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