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2012年7月14日 (土)

三國玲子「蓮歩」

 短歌新聞社「三國玲子全歌集」(平成17年・再版)より、4番めの歌集「蓮歩」を読みおえる。

 原著は、昭和53年、角川書店・刊。461首。

 46歳~54歳頃の作品と思われる。

 家庭は平穏(子供には恵まれなかったが)、仕事は出版社の書籍編集と、充実した時期の作品である。もっとも、歌集発行年7月には、会社を退職している。

 この頃より、短歌欄選者、短歌通信添削、短歌会講師、などの担当が多くなってゆく。

 以下に6首を引く。

労働の酬いさびしと歩廊より仰ぐ堤はれんげうの季

蔭の力むくはれたりとパーティのいよよ華やぐときに罷りきぬ

久しかる自立の希ひ遂げたりと思ひしときに老は迫りぬ

行きてまた孤立せむとすれんげうの黄のたなびきは朝光のなか

遊ぶこと拙きわれは重き扉をひらきて夜の潮の香を浴ぶ

卯月早や熱き舗道にいでて来つ本編む仕事けふはもの憂く

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