内田百閒「百鬼園俳句」
角川書店「増補 現代俳句大系」第5巻(昭和56年・刊)より、7番めの句集、内田百閒「百鬼園俳句」を読みおえる。
原著は、昭和18年、青磁社・刊。
258句を収め、春夏秋冬新年の5部に分かれる。それまでの30余年の句であり、その後昭和46年に没するまで句集は出版されていない。
戦争後期の句集として、滝井孝作、久米正雄、室生犀星、この内田百閒と、文人俳句の句集が、他の時期と比べて格段に多いのはなぜか、三省堂「現代俳句大事典」で調べても、わからない。
著者は漱石門下、随筆家として名高い。
以下に5句を引く。
校庭に犬吠ゆるなり夏近く
梅咲いて藪の暗さや紀元節
さみだれの田も川もなくふり包み
欠伸して鳴る頬骨や秋の風
漱石忌戻れば屋根の暗さ哉
本文と無関係。
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