« 詩誌「アリゼ」第150号記念号 | メイン | 歌誌2冊 »

2012年9月17日 (月)

春日井建「青葦」

 砂子屋書房「春日井建全歌集」(2010年・刊)より、4番めの「青葦」を読みおえる。

 原著は、1984年、書肆 風の薔薇・刊。

 1963年・25歳で歌と別れた彼が、1979年・41歳で歌作・再開、中部短歌「短歌」の編集発行人を引き継ぐ。

 歌作・再開は、三島由紀夫の死(1970年)、大事な友の死があり、父の死が「充填された銃の引金をひかせることとなった」(「あとがき」より)。

 結社誌の編集発行人を引き継いだのは、父の遺志か、残された会員の意志か、彼の老母への憐みか。「この短い期間の心理的事件は、私にとっては不可思議かつ不条理だったが、表向きには自然にことが運んだ。」と彼も多く触れられたくないような、「あとがき」である。

 以下に5首を引く。

蕩尽のはてに帰りし体には馴染まむとせぬ家具の影さへ

秋雷の一閃ののち闇ふかし忘じ難きは人にはあらず

うちつけに黄葉吹きあぐるつむじ風われに老いたる母一人ある

運不運ともに搬ばれゆくならむ旅の鞄はわれになじみぬ

住む場所のいづこにもなき悲しみに砂漠清しと言ひしロレンス

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.mitelog.jp/t/trackback/238785/29830203

春日井建「青葦」を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

ブログランキング

  • 応援のクリックを、よろしくお願いします。
  • ブログ村も、よろしくお願いします。

最近のトラックバック

ブログパーツ

  • ツイートをフォローしてください。
  • 3カウンター
  • アクセス解析

更新ブログ

Powered by Six Apart
Member since 04/2007

日本ブログ村

  • 日本ブログ村のリストです。

人気ブログランキング

  • 応援の投票を、お願いします。

アンケート